LS入試考察―憲法編

 今日は民法のテストがありました。
 出来不出来はともかくとして、死にものぐるいで論述すると、脳の一部が活性化するというか、開かれたような状態になりますね。今日のテストを通じて、けっこう脳細胞が若返ったような気がします。スポーツの後のさわやかな疲れに似ています。


 ところで、今年LS入試を目指している方はどんな勉強をしているのでしょうか。夏休みに突入し、論述試験対策に余念がないころなのでしょうね。
 受験生にとっては、合格のためにどのような勉強法が効果的なのかは重大な関心事だと思います。特に、LS入試は、各大学が自己の裁量で学生を選抜をすることになるので、大学ごとの出題傾向、採点傾向の特徴が色濃く現れると想像できます。
 そして、これらを主導するのはもちろんその大学の教授陣です。ですので、教授陣がどのような学生を選抜しようとしているのかを知ることは、合格のための勉強法を模索するにあたって、それなりに有用だと思われます。
 ということで、僕が所属するLSの教授陣の性格や、答案作成についての雑感をこちらで簡単に紹介してみたいと思います。一学生の私的な感想に過ぎないので、情報としての価値はほとんどありません。小話程度に聞き流していただけると幸いです。
 

憲法

 4人の教授がいます。O先生、D先生、M先生、S先生です。
 O先生は、専門が議会法と宗教です。LSでは1年次の「統治の基本構造」を受け持っておられます。憲法の教授陣の中で、一番お茶目な先生かもしれません。そんなに厳しい印象ではありません。服が個性的で評価が高いです。
 D先生は、とにかくエネルギッシュです。なんでもこなすという感じで、特定の分野の好みはうかがい知ることができませんでした。用語の正確な理解など、細かいところをきっちりすることを重視されます。論述でも、きちんとした言葉を使って、トータルで印象を良くすることが大切でしょう。ちなみに、LSの教授陣中ぶっちぎりのイケメンなので、女子から絶大な人気を集めています。
 M先生は、表現の自由が大好きです。あとは、大法廷違憲判決も大好きです(もっとも、これは憲法学者全般にいえることだと思います。)。特に表現の自由について問題意識を持っておられるので、M先生が試験作成に携わった場合、経済的自由権が問題になることは少ないのではないかと思われます。目がきらきら光っていて、少年のようなお人です。
 S先生は、謎です。少し前まで研究科長を務めておられたので、授業に顔を出すことはありませんでしたが、今年は公法総合3の授業を受け持っておられました。授業はカルチャークラブのようなのんびりした塩梅で、活力に充ち満ちた感じではないようです。入試に携わるのかどうかすら怪しいです。


 憲法の入試問題ですが、基本的に人権から1題、統治から1題が出題されているようです。既習者の場合、LSでは統治機構について学ぶ機会がほとんどないので、入試問題である程度ふるいをかけているのではないかと考えられます。よって、今後も統治の出題は続く可能性が高いです。
 とはいえ、本丸はやはり人権だと思います。表現の自由を中心に、法の下の平等や私人間効などを重点的に勉強するのが得策ではないでしょうか。
 授業や試験の採点を見る限り、予備校の論証パターンの切り貼りはあまり評価されません。基本書と判例を読み込むことが対策としてもっとも有効だと思われます。事例に類似した判例を紹介し、その射程を論ずるのが最善ですが、そこまでいかなくとも、該当判例の規範を真似してそれらしく論じるだけでも、ポイントは相当高いと思います。


 教科書は芦部先生で問題ないと思いますが、高橋先生の立憲主義日本国憲法も、コンパクトながらきっちりまとまっていてお勧めです。
 判例集は百選で問題ないでしょう。
 また、解説がついていませんが、有斐閣新書の憲法判例集は、結構な量の判例がコンパクトにまとまっていてお勧めです。小さくて軽いので、カバンの中に入れていつでも読むことができます。また、引用文の中に小さな小見出しが付されていて、これがけっこうよくできているのでサクサク読み進めることができます。


憲法 第四版

憲法 第四版

立憲主義と日本国憲法

立憲主義と日本国憲法

憲法判例集 第10版 (有斐閣新書)

憲法判例集 第10版 (有斐閣新書)