“L”が『デスノート』を上回る

(3月20日9時5分配信 VARIETY)


 松山ケンイチが主演する『デスノート』のスピンオフ作品『L change the WorLd』が18日(火)、興行収入で28億7000万円を記録。1作目の『デスノート』前編が記録した28億5000万円を上回ったことがわかった。20日(木)には、29億円に到達する見込みという。


 松山ケンイチら出演者が勢ぞろいした舞台挨拶の様子


 これで、2作目『デスノート the Last name』(52億円)と合わせ、3作品での累計興行収入は110億円前後となる。同一の物語設定をもった連作で、3作品の累計成績がここまで数字を伸ばすのは、邦画では非常に珍しい。


 スピンオフ『L change the WorLd』は、原作にはない映画オリジナルとして製作。前2作品で、その特異なキャラクターが評判になった“L”を主人公に、彼が死に至る最期の23日間を描く。1作目から2作目に至る過程で人気に火がついた松山ケンイチを主人公に据えたこと、前2作のインパクトが、いまだファンの間で余韻を残していたことなどが、3作目のヒットにつながったと言えよう。さらなるスピンオフ作品はあるのか。邦画では稀な実績をもつ連作だけに、映画界には待望論が根強い。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000001-vari-ent


L change the WorLd』は、「L走り」なるものを前面に押し出したりして、運動音痴のLが実際に体を動かして事件を解決する、という意外性を映画のカラーとしているらしいです。
このくだりを聞くだけで、原作に対するリスペクトがまったく感じられない作品なんだなと推測できます。実際にはLは運動音痴ではなく、テニス高校日本一のライトと互角にテニスで戦うことが出来るくらい、運動は得意だったはずです。
これほど明らかに原作の設定と矛盾しているのに、どうしてこれほどの業績をあげることができたのでしょうか。


観客が前情報を知らなかった

「L走り」のくだりは、テレビで『L change the WorLd』の紹介をする際、頻繁に報道されていました。意外性があるのでインパクトは強いですし、テレビ局としても取り上げやすかったのでしょう。
しかし、テレビをまったく見ない人も世の中にはたくさんいるので、そういう情報を得ることなく、映画の存在だけを知ってしまった人がいることも十分考えられます。

観客が原作を読んでいなかった

原作を読んでいないために、上記の矛盾点に気づくことが出来なかったという人もいるかもしれません。映画版『DEATH NOTE』からデスノートの世界を知ったという人々がこれにあたると思います。
こういう人々にとっては、Lはまさしく運動音痴の引きこもりと考えられるでしょうから、「L走り」をされても違和感はまったくないと思います。

原作を読んだけど、サッと流すように読んでいた

原作は読んだけれど、テニスのくだりなど細かなエピソードは覚えてないよ、という人はかなり多そうです。
そのような人々も、矛盾点に気づくことはないので、特に問題なく映画を見ることができます。

矛盾を知ってるけど怖いもの見たさで鑑賞した

「L走り」が明らかに原作と矛盾することに気づきながら、どういう作品に仕上がっているのかを見てみたい、という怖いもの見たさの境地に至った人がいることが考えられます。
よほどの映画好きでないと考えられない選択肢ですが、ありえないこともないんじゃないかと思います。

矛盾してるけど映画は映画で勝手にやればいいと考えた

映画は根本的に原作とは違うものだ、という観点から、原作との食い違いを問題にしないという人もいるかもしれません。「原作が面白い→映画も面白いはず」という、集客におけるデスノート映画の強い部分がまったく生かされないので、こういう層は少ないんじゃないかと思いますが、やはりありえないこともないでしょう。



こういう人たちがたくさんやってきて、今回の興行収入につながったのでしょうね。
製作側としても、一人に繰り返し映画館に足を運ばせることは考えていなくて、一人が一回来てくれれば十分成功といえます。そこでああいった「L走り」なる描写を盛り込み、意外性を持たせることで、瞬発的な観客動員を優先したんでしょうね。実際、内容はさておき、興行としては『L change the WorLd』は大成功です。


こういうスタンスに反感を覚える人も多いと思いますが、映画も商売である以上、仕方がないのかなとも思います。