長槍論争

強力なカードが数多い三国志大戦3ですが、厨カードを一つ選ぶとすれば、多くのプレイヤーはC法正を挙げると思います。
理由は簡単で、陣略の長槍閃陣が圧倒的なパワーを持っているからです。


槍オーラは、接触した相手の移動速度を低下させる効果を持ちます。普段から厄介な能力ですが、これが長槍状態になると、普段は槍オーラが届かない遠方の部隊の移動速度も低下させることができます。
するとどうなるかというと、まず移動速度が低下するために、長槍側と交戦をするのが大幅に遅れます。そしてその間、長槍側は何もしないのではなく、槍激を放ちます。
その結果、部隊が交戦するころには、相手の兵力は大幅に減少することになります(半分くらいに減少することも)。これでは多くの場合、その後の乱戦で打ち負けてしまいます。


これはかなり絶望的な状況ですが、あろうことか、長槍閃陣はゲージMAXから発動すると、戦いの終了までずっと効果が持続してしまいます。
つまり、一度陣略を発動されたが最後、長槍側から攻城をとることは非常に難しくなります。


これがあまりに強すぎるため、最近では多くのプレイヤーが長槍に否定的な評価を下しています。実際、マキシィでは「長槍うざい」とか、「長槍相手には空打ちOK」とか、そういった風潮がかなり広範囲で発生しています。
実際、長槍は強力なので(しかも簡単)、こうした愚痴を言うことで不満を発散させたいという気持ちはわからなくもありません。


しかし、これに異を唱えたのがオフィス加藤です。
オフィスは、長槍を批判する人たちは、長槍を崩す努力をしない身勝手な人間だと切り捨て、長槍に対する不当な暴言はやめるべきだと主張しました。
長槍を叩いている人たちというのは、往々にして魏を使っていることが多いのですが、オフィスにしてみれば、「長槍が寒いというのは、いってみれば、呉が君たち求心や機略使いは寒いといってるのと同じだよ。それは明らかに不当でしょう」と、こういうことになるわけですね。


では、どちらの言い分に正当性があるのでしょうか。
僕が思うに、今回の論争はオフィスさんに軍配があがります。
強いデッキを探して勝率を上げるというのは、三国志大戦に限らず対戦型のカードゲームでは当たり前のことです。誰も負けるとわかっているデッキを組もうとはしないはずです。
長槍が強いカードだとわかれば、長槍を組み込んだデッキを作ろうとするのはごく自然な成り行きでしょう。ここで長槍を使うなということは、いってみれば(俺たちに勝ち星を譲るために)積極的に弱いデッキを作れと命令するようなものです。
とすれば、これは長槍を叩いている人たちが身勝手なことを言っているものといわざるを得ません。


確かに、そうした理屈があっても、長槍が「強すぎる」ということは否定できません。
しかし、「強い」と「強すぎる」との境界はあいまいで、そうした評価に正当性の契機を与えることはできません。
あくまで個人的な感想に過ぎないのであり、客観的な説得力を持ちえないのです。
ですので、「強すぎる」ことを理由として、長槍を使っている人を批判することは不当なことです。
長槍に対して愚痴をいうのは個人の自由ですが、そうするときは自分が正しいんだという態度で堂々と表明するのではなく、悪いことをしているという自覚を持って、陰に隠れてコソコソやるのがふさわしいでしょう。


C法正が正当性をもって糾弾されるのは、公的にC法正の存在が不当と認められた段階に限られます。
具体的には、SEGAがカードの使用を停止したときですね。
それまでは「そういうゲームです」と言うほかありません。