ジャンプ感想[23号]

 リリエンタールが終わってしまいました。本当に悲しいです。


 最終回は味があって素晴らしかったです。打ち切りでありながら、ここまできれいにまとめられるのはすごいの一言ですね。
 まず、紳士組がしっかり活躍しているのが素晴らしいです。紳士組は基本的に何もできないですし、ここでも特に役立っているわけではないのですが、存在感だけはあります。言うこともやけにかっこいいですし、なぜか紳士組がいないとダメだなという雰囲気になります。なぜかはよくわかりませんが、とにかくすごいです。葦原先生の紳士組への愛が伝わってきますね。僕も彼らが大好きなので、このような展開は大歓迎です。


 てつこのイメージ体がRD-0にとどめを指したのも最高。リリエンタールでは、やっぱりてつこが重要人物なので、てつこでシメられたのはよかったなと思います。まじんけんぽうの迫力も健在でしたし。スカっとする終わり方で、カタルシスとして申し分ありません。


 リリエンタールが「ありがとうごました」と、ちょっと気の抜けた感じのあいさつをしているのもまた味があります。シリアス展開と癒しの同居というか、とにかく心地いいです。
 さらに、その後のシュバインさんの回想シーンも、落ち着きがあっていいですね。シュバインさんと「組織」との関係がとにかく気になります。これだけの簡潔な描写で、シュバインさんの物憂げな様子が伝わってくるのは脱帽です。シュバインさんも、最初は「組織」をある程度評価して加入したのだと思いますが、最後はこういう結果になってしまって残念なことなのでしょうね。


 最後は、リリエンタールが家に帰ることができて、いつもの日常が帰ってきてTheEnd。きれいな終わり方ですね。紳士組がいるのもグッド。気持ちのいい気分で読み終えることができました。


 とにかく暖かい漫画でしたね。どこをどうひっくり返せばこれを打ち切るという発想が出てくるのかわかりませんが、何か深刻な問題があったのでしょうか。アンケート至上主義が一番有力な根拠だと思いますが、律儀にアンケートを出す層が一体どれほどいるのでしょうか。ともすればニッチ層の意見を反映することにもなりかねないのでは。まぁ、僕がニッチ層という可能性も十分ありますが、個人的にはあまり変わった嗜好ではなく、みんなが面白いと思う漫画を同じように面白いと思っていることが多いです。
 アンケートもほとんど意味がないとはいいませんが、絶対の基準にするまでのことはないかなと思います。リリエンタールみたいな漫画が打ち切られるのはやりきれないです。これで葦原先生がすねて、ジャンプから立ち去ってしまったら、将来のジャンプにとって相当な痛手だと思いますが…。そこはなんと言っても天下のジャンプですから、ある程度上からものを見ているんですかね。作者はジャンプにすがりついてくるという。確かに、ジャンプで売れっ子になれば、印税がえらいことになりますし、一気に億万長者になれます。作者にとってはやはり重要なポイントですよね。
 しかしジャンプとしても、発行部数が増えて欲しいのは間違いないわけで、さらにそのための唯一の方法がアンケート至上主義というわけでもないでしょう。今回のリリエンタール打ち切りをきっかけにして、いろいろ再考して欲しいなと思います。


 しかしこうしてみると、僕も相当なリリエンタール信者ですね。