崖の上のポニョ

 崖の上のポニョを見ました。映画館にまで見に行かなくて、本当によかったとしみじみ思いました。


 一番の問題は、物語がわかりづらいことです。ポニョが人間になるのはまだいいです。人間の血を飲めば人間になれるという説明がされているからです。
 しかし、ポニョの人間化に際して起こる台風の発生と、水位の異常な上昇には、なんの説明もされていません。フジモトの話などから総合的に判断すると、ポニョが何かまずいことをしたせいで、世界がおかしくなってしまったようではあります。しかし、ポニョのどの行為によって、なぜ、世界がおかしくなってしまったのか、具体的な説明は何もありません。視聴者は何が起こったのかわからず、物語についていくことができません。
 また、かなり唐突に世界がおかしくなってしまうので、視聴者としては世界がおかしくなった瞬間をつかむことすら困難です。事後のフジモトの説明で、「ああ、世界はおかしくなってたんだ」と気づくような感じで、ここでも物語についていくことは難しいです。


 最後は、ポニョと宗介が海の中のあるスペースにたどり着くことで、「世界は救われた」とされて終了。居合わせた老人ホームのおばあさんが、涙を流して喜びますが、視聴者としては、なぜこれで世界が救われたのかまったくわかりませんし、そもそも世界がおかしくなっていたことを十分共有できていないので、カタルシスもまったく感じることができません。


崖の上のポニョ [Blu-ray]

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